山口市の百貨店「山口井筒屋」で開催されている「唐津焼 十四代 中里太郎右衛門展」 に足を運んできました。
唐津焼といえば、茶陶としての歴史が深く、多くの茶人や愛好家に親しまれてきた焼き物。その中でも中里家は、江戸時代から続く唐津焼の名門であり、十四代中里太郎右衛門さんはその伝統を受け継ぎつつ、新たな表現を探求している作家です。
会場には、茶碗や花入、水指など多彩な作品が並び、ひとつひとつの器から伝わってくる「土」と「炎」の存在感に圧倒されました。特に茶碗は、手に取ったときの馴染みの良さと、口縁の自然な仕上がりが印象的。まさに「使われて完成する器」という唐津焼の魅力を体感できました。
また、展示の中には十四代ならではの新しい試みもあり、伝統と現代の感覚が融合した作品からは、唐津焼の未来を感じさせられました。
山口井筒屋は、地元の文化発信の拠点としても知られています。百貨店の中でこうした本格的な陶芸展が開かれるのは、地域にとっても貴重な機会だと改めて感じました。買い物ついでに立ち寄れる気軽さもありつつ、展示はしっかりと見応えがあり、器好きにはたまらない空間です。
「唐津焼 十四代 中里太郎右衛門展」は、唐津焼の歴史と未来を一度に感じられる素晴らしい展示でした。山口でこのレベルの作品に触れられる機会は貴重で、行ってよかったと心から思います。
陶磁器や茶道に関心のある方はもちろん、普段あまり器に触れる機会がない方でも、唐津焼の持つ素朴で力強い魅力を楽しめるはずです。